無理せずゆるく応援

観劇してて思った事を書いていこうと思います

『推し』が初めて出来た時

今までゆるーく浅ーくメインを某テニスのミュージカルを観てたまに若手俳優が出ている様な舞台を観ていた私に初めて『推し』が出来たのは約2年前。
それまで学校毎に「○○くんかっこいいよね」「○○くん歌上手くなったよね」「○○くんの写真買っちゃった」とか言ったりしてたし、
友人から誰が好きなの?と聞かれて「○○くん好きだよ!ブログとかバクステで面白いし!」と答えるものの○○くんの別舞台には行かない。
もちろん地方公演なんて行った事もない。地方公演やイベントはレポで見て満足するだけ。
稀に別舞台には友人に誘われたりごく稀に気が向いたら自分で行くような事もあるものの、私は俗に言う『茶の間』状態であった。
いや、茶の間を名乗るのもおこがましいかもしれない。
私は何もアクションを起こさなかった。起こさなかったというか起こすのが面倒くさかった。
○○くんに対してファンレターなんか書いたこと無い(そもそも手紙や感想を書くのが嫌いだ。これはまた別で語ろうと思う)
Twitterやブログにリプやコメントを残した事も無い。
土日休めない仕事だからイベントなんて行った事が無い。(一度だけある若手俳優数名のイベントには行った事があるけど当時はこれが精一杯)
友人が自分の推しに贈るプレゼントを悩んで一生懸命選んでいるのや、ファンレターに何を書こうかと頭を抱えて便箋と向き合っているのや、それをプレゼントBOXに入れるのを横目で見ていた。
せっせと毎公演ファンレターやプレゼントを贈り、イベントで「(友人)ちゃんですよね、いつもありがとう」と自分の推しに言われて「認知されていた!」と友人が喜んで私に報告してきたのを「凄いね良かったじゃん!」と聞くものの自分にはそんな情熱はない。
お見送りや客席降りがあるイベント○○くんと目が合ったり一言二言言葉を交わすことがあるものの、
○○くんにとって私はその場に居た観客の一人であり、次の瞬間私の次の人に意識を飛ばし記憶にも残らない存在である。
公演後に友人達とお茶したりして「○○くんあそこのシーンでこうだったよね」と実のない感想を言い合うだけで満足だった。
私はただの『○○くんが気になるただの観客』でしかなかった。

 

そんな私に初めて『推し』が出来た。
推しとの出会いは色んな友人達にある舞台を勧められ、たまたま気が向いてそんなに言うなら観にいこうかなとチケットを取り観た舞台だった。
その舞台はシリーズ物で推しはその舞台がほぼ初舞台だった(以前アンサンブルをしていたらしいがほぼ黒子状態だったらしい)。
正直演技は上手くない、顔も全く好みではない、でも推しが演じたキャラクターがとても魅力的で私の中で何かがストンと落ちた感じがした。
ストーリーもとても面白く舞台と客席が近かったので演者の熱がこちらにまで伝わってくる様な感じで観ながらとても興奮していた。
終演後お見送りがあったのだがふわふわした足取りで「ありがとうございました」と声を掛けてくれる推しの前を通り過ぎた。
その後たまたま同じ日に観劇していた友人を捕まえて時間ギリギリまで劇場近くのスタバで感想を言い合った。
友人はその舞台を私に勧めてきた一人だったのだが「ね?面白かったでしょ?」としてやったりな顔をされて「はい、とても」と返したのを覚えている。
しかし、この段階では今までの『○○くん』とほぼ同じ状態だった。
ファンレターも書かず、コメントも残さない。
ただ違うのはそのシリーズ舞台にハマりテニスのミュージカル同様次の公演が発表されるとチケットを取って劇場に行ったし、関連イベントがあるとそのイベントにまで行っていた。
自分でも凄くハマってしまったな、と思った。他の人からしたら大した事は無いかもしれない。でもそれまで他舞台に関心を持たなかった私がここまで動く事は初めての事だった。

そんなある時推しがそのシリーズ以外の舞台に出演が決まった。
その時私は行く気がなかった。推しは『○○くん』と同じだったのだから。
しかし周囲に「行くんでしょ!?クレジットも名前が前の方にあるから良い役かもよ!?」と焚き付けられたのと、友人の友人の同じ推しファンの子に「良かったら一緒に行きませんか?」と誘われた事により観に行く事になった。
観にいったのは初日、友人の友人がチケットを取ってくれたのだがまさかの最前列だった。
どうでもいい余談だが私は舞台を観にいく時にネタバレを観ていく事が多い。その舞台で良いシーンがあるのに見逃したら嫌だからなのとこういうストーリーなのかと心積もり出来るからだ。
しかしその日は初日、あらすじは舞台サイトに載っているものの内容は分からないし、ゲネをみた関係者が内容を漏らす訳も無かった。
劇場は小さめな小屋で非常に狭く最前列と舞台の距離がもの凄く近かく脚を伸ばしたらステージに当たる位の距離だった。
開演時間になり舞台が始まった。
凄かった。初めて見た時演技が素人目に見ても分かるぐらい上手くなかった推しが他の演技経験豊富な出演者達と同等に演技していた。
役柄も重要なポジションで推しの演技次第ではストーリーが崩れてしまう様な役だったが贔屓目を抜きにしても推しは完璧に演じれていた。
舞台内容も勿論素晴らしかった。重いストーリーだったが音楽も照明も凝っていたしセットもシンプルながら所々に拘りが見えていたし、本当に他の出演者も素晴らしかった。
終演後、客電が点いて立ち上がった瞬間自分がものすごく疲れている事が分かった。知らず知らずの内に真剣に舞台に観入って力は入ってしまっていたのである。
友人の友人と駅で別れて一人で電車に揺られている最中も身体がとても熱かった。
都内には高速バスで通っているのだがいつも観劇後は寝てしまうのにその日は余りの興奮に一睡も出来なかった。
推しがそれまで私が見ていた好きなキャラクターを演じている『○○くん』から『推し』に変わった瞬間だった。
帰宅後すぐにパソコンで次の休みの日の当日引換券を手に入れてAmazonでレターセットを購入した。生まれて初めてファンレターを書こう!と決めたのである。
その日の夜からすぐにファンレターの作成に取り掛かった。ネットで正しい書き方を調べたけど当たり前だけど皆それぞれ書き方が違う。
結局文章が出来上がって便箋にペンを走らせたのは当日開演数時間前の劇場近くのファミレスの中だった。
本当にドキドキした。便箋に書かれた余りの自分の字の汚さにショックを受け何故今までペン字講座なり受けなかったのかと過去の自分を恨んだ。
開演15分前に初めてのファンレターが書きあがり会場へ向かってスタッフの人にファンレターを渡した瞬間恥ずかしさの余りもう帰りたいと思った。
そうは行ってもすぐ舞台は始まるのでチケットを引き換えて会場へ入り舞台を観劇した。
はやり素晴らしかった。
推しを一人の俳優として今後もずっと応援して行こうと心に決めた瞬間だった。

その後推しの為に初めてプレゼントを贈ったり(事務所に送った事もあった)、初めての観劇遠征もしたりした。
稽古着にどうぞとプレゼントしたTシャツを着てくれた写真がアップされた時は思わず悲鳴をあげてしまった。
出演作品には一作品毎にファンレターを送っている。
昔の私に今は推しが出来てファンレターも送ってプレゼントしたりしているんだよと言っても信じないだろう。いまだに自分でも信じられないし。

初めて知った時に比べ推しの仕事は格段に増えた。それに伴いファンも増えていっている。
嬉しい気持ちは勿論あるけど少々複雑な気持ちが無いとは言えない。
推しはこちらから見ると一生懸命な人なので仕事のしすぎで疲れていないかと心配になるけど応援することしか私には出来ない。
ただその唯一出来る『応援すること』をしていきたいと思う。